望月!3分おススメ話!

一期一会・趣味を通じたはじめましての感情を大切に

【ネタバレ無】【感想】(小説)探偵は教室にいない

探偵は教室にいない

川澄浩平 さん

を読んだのでネタバレしないように感想を書き留めます。

こんな方におススメ

  • 学園モノのミステリーが好き
  • 日常の中の(人が死なない)ミステリーが良い
  • 印象強いキャラクターと青春を感じたい

これから読む本を選択するときの後押しになれば幸いです。

現代日本の北海道が舞台。主人公の少女が遭遇する謎を、主人公と異なる学校の男子学生が解き明かしていきます。具体的な土地勘がある方には特に身近に感じられ、土地勘がなくても北海道に想いを馳せられるのがまた楽しくもあります。

 

私がこの本を好きなポイント3点を始めにまとめます。

  1. 机上での理路整然とした推理
  2. 印象的なキャラクター
  3. 学園モノで読み心地が軽やか

以下各ポイントの感想を詳しく述べていきます。

1.机上での理路整然とした推理

推理をする「教室にいない」男子学生は、主人公とは異なる学校の生徒。そのため主人公が抱いた謎について、対話に基づいて情報を整理しながら推論を立てていきます。その過程や推論を立てていく順序立ては美しく、ひとつの答えに読者も一緒に導かれるようでした。探偵役である男子学生が与えられた限られた情報のみで推理していく様子は「動かざる山の探偵」!

2.印象的なキャラクター

探偵役の男子学生が非常に論理的かつ聡明でありながら、つけいるスキのあるかわいさも併せ持っていました。端的なモノ言いながらも憎めない魅力的なキャラクターです。

一方、主人公である女子学生はそれと対比するかのように快活で情の厚さがあって親しみがわきます。どのキャラクターも読むほど味がありましたが特にこの二人のコントラストがより印象強くの残りました。

3.学園モノで読み心地軽やか

学園の中で起こりうる日常的な謎や疑問を解き明かしていく推理小説でしたので、内容がするすると頭に入りやすかったです。1章、1章を読む時間をあっという間に感じて軽やかな読み心地でした。

単純に事実のみを推測するのではなく、そのキッカケとなった心情を慮る推理となっていたため、推理小説としての深みも感じられました。

 

総評

推論を立てていく順序立ては美しく、ひとつの答えに読者も一緒に導かれるようでした。主人公と、探偵役との二人のキャラクターにはコントラストあってより強く印象に残りました。単純に事実のみを推測するのではなく、そのキッカケとなった心情を慮る推理となっていたため、推理小説としての深みも感じられました。

  1. 机上での理路整然とした推理
  2. 印象的なキャラクター
  3. 学園モノで読み心地が軽やか

 

その他の本の感想やリストはこちら

mochizuki-1.hatenablog.com

 

以上、ご参考になれば幸いです!

【ネタバレ無】【感想】(小説)がん消滅の罠

がん消滅の罠 完全寛解の謎

岩木一麻 さん

を読んだのでネタバレしないように感想を書き留めます。

こんな方におススメ

  • 現代フィクションのミステリーが好き
  • 医療関連のリアリティある作品が好き
  • がん、保険に関する描写に興味がある

これから読む本を選択するときの後押しになれば幸いです。

現代日本でのがん治療に関するフィクションミステリー作品です。がん治療に従事する医者が主人公です。がん患者を診察していく中で起こる出来事/謎を、医学的に、かつ知識がなくてもわかりやすく解き明かしていきます。

 

私がこの本を好きなポイント3点を始めにまとめます。

  1. 医学的(専門的)でありながらも理解しやすく推理に入り込みやすい
  2. 異なる専門家が多面的な切り口で情報を得ていくため読み心地にも豊かさがある
  3. 現実でも起こりうるというドキドキ感、緊張感がある

以下各ポイントの感想を詳しく述べていきます。

1.医学的(専門的)でありながらも理解しやすく推理に入り込みやすい

がんをテーマとした医学的要素が絡むミステリーですが、解釈や推理に必要な情報は丁寧に語られていくため理解しやすかったです。そのため読者自身も医学的な知見で推理を辿ることができました。

2.異なる専門家が多面的な切り口で情報を得ていくため読み心地にも豊かさがある

がん患者に起こる謎に対して、医療のなかでも異なる専門家、保険屋さんなど多面的な観点から情報が集められます。つまり単に医者の一人称のみで専門的に進むだけでなく、医療について非専門家の立場としても語られるため謎に対する意見の持ち方が多様で読み心地に豊かさがありました。

3.現実でも起こりうるというドキドキ感、緊張感がある

がんに立ち向かう姿勢や捉え方は現代社会と同様で医療の中でも大きなテーマとなっていると思います。また、本作で仕込まれる謎はフィクションでありながら実現可能とも思わせる内容となっているため、現実でも起こりうるのではという緊張感があってハラハラしながら読むことができました。
さらに、「なぜこのような謎を登場人物は仕込んだのか」という動機にも思いをはせることで感情面でも揺さぶりがありました。

 

総評

推理に必要な情報は丁寧に語られており読者も医学的な知見で推理を辿ることができました。医療について非専門家の立場としても語られるため謎に対する意見の持ち方が多様で読み心地に豊かさがありました。また、フィクションでありながら実現可能とも思わせるトリックには現実でも起こりうるのではという緊張感がありおもしろかったです。

  1. 医学的(専門的)でありながらも理解しやすく推理に入り込みやすい
  2. 異なる専門家が多面的な切り口で情報を得ていくため読み心地にも豊かさがある
  3. 現実でも起こりうるというドキドキ感、緊張感がある

 

その他の本の感想やリストはこちら

mochizuki-1.hatenablog.com

 

以上、ご参考になれば幸いです!

【ネタバレ無】【感想】(小説) 長いお別れ(The Long Goodbye)

長いお別れ(原題:The Long Goodbye)

レイモンド・チャンドラー さん(著)、

清水 俊二 さん(翻訳)

を読んだのでネタバレしないように感想を書き留めます。

こんな方におススメ

  • ハードボイルド系のミステリーが好き
  • 名言がある、言い回しがおしゃれな本が好き
  • お酒が飲みたくなる本が好き

これから読む本を選択するときの後押しになれば幸いです。

近代のアメリカを舞台とした世界観で、私立探偵として様々な依頼をうけるフィリップ・マーロウが主人公のシリーズ作。主人公は自分の意志が強くちょっとした権力には屈しないまっすぐさ(あまのじゃくさかも)を持っていて、少しでも納得できないことは自らの足で事実をつかみ取っていったり、その中で直面する相手とのシニカルなやりとりなどが非常に魅力的です。本作もその魅力が存分に発揮されていて、さらに大きな伏線を締めくくる結末と有名な名言が表れるシリーズ代表作です。

 

私がこの本を好きなポイント3点を始めにまとめます。

  1. 自分の意志を貫き権力に屈さない魅力的な主人公
  2. 退廃的なムードとシニカルなやり取りが小気味よい
  3. 鬱屈とした感情が続いたあとの結末での解放感が大きい

以下各ポイントの感想を詳しく述べていきます。

1.自分の意志を貫き権力に屈さない魅力的な主人公

主人公は調査を進めるにあたって様々な権力や理不尽さが目の前に立ちふさがりますが、自分が不利になるように思われてもそれに屈せず立ち向かう様子がかっこよく魅力的でした。読者としてはやめとけばいいのに・・・と思いながらも反抗的であまのじゃくにも見えるその行動からは目が離せずドキドキ感も味わえました。

2.退廃的なムードとシニカルなやり取りが小気味よい

終始漂う非道徳なムードと時にそれを利用しながら私立探偵として孤独に調査を進める様子はまさにハードボイルド。事あるごとに登場するバーボンや、本作ではカクテルのギムレットが取り上げられたりと読んでいるとお酒も飲みたくなります。また、主導権をにぎるために主人公が口にする皮肉っぽい言い回しには、やってやったぜという小気味よさがあります。

3.鬱屈とした感情が続いたあとの結末での解放感が大きい

自分が追い求める真相のために不可解な依頼も引き受けていくため、危なげで鬱屈とした場面が続くことも多いです。しかし、それがあるからこそ納得のある結末での感情の解放感は大きかったです。アメリカンなシニカルさやジョークなどの言い回しは少し慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひとも最後まで読んでみてもらいたいです!

総評

自分が不利になるように思われてもそれに屈せず立ち向かう主人公はかっこよく魅力的でした。終始漂う非道徳なムードですが、時にそれを利用しながら、時に皮肉っぽい言い回しや行動で立ち向かっていく様子には小気味よさがあります。鬱屈としたストーリーが続くからこそ納得のある結末で得られる感情の解放感が大きかったです。

  1. 自分の意志を貫き権力に屈さない魅力的な主人公
  2. 退廃的なムードとシニカルなやり取りが小気味よい
  3. 鬱屈とした感情が続いたあとの結末での解放感が大きい

 

その他の本の感想やリストはこちら

mochizuki-1.hatenablog.com

 

以上、ご参考になれば幸いです!

【ネタバレ無】【感想】(小説) ルビンの壺が割れた

ルビンの壺が割れた

宿野かほる さん

を読んだのでネタバレしないように感想を書き留めます。

こんな方におススメ

  • 少しの空き時間を使いながら読み切りたい
  • 描写される違和感の正体を想像しながら読むのが好き
  • 結末でのどんでん返しと爽快感を味わいたい

これから読む本を選択するときの後押しになれば幸いです。

現代の日本をもとにした世界観で、フィクションですが実在するSNSをモチーフにしています。ある二人の中で交わされるメッセージのやりとりでストーリーが進みます。そのやり取りの中では違和感を感じることもあり、殺人系の話は苦手だけどミステリーのように謎の正体を想像しながら読みたいという方にもオススメできる内容です。

 

私がこの本を好きなポイント3点を始めにまとめます。

  1. メッセージのやり取りには対話形式に近く1時間程度でもサクッと読み切れる
  2. やり取りの中の違和感の正体を想像するミステリーの味わいもある
  3. 人間性の見え方と、結末でのどんでん返しに驚きと爽快感がある

以下各ポイントの感想を詳しく述べていきます。

1.メッセージのやり取りには対話形式に近く1時間程度でもサクッと読み切れる

SNS上のメッセージでのやりとりを中心として描写されているため、対話に近い感覚で読めて設定が理解しやすかったです。このメッセージの受け取り手が自分自身であるかのようで、どちらの視点にも立てるのもおもしろかったです。また、メッセージのやりとりは口語的なこともあり、スラスラと読めてボリューム的にも早い方なら1時間程度で読み切れる内容でした。

2.やり取りの中の違和感の正体を想像するミステリーの味わいもある

二人のやり取りの中で徐々に明らかになっていく事実、不自然に隠されながら進んでいくメッセージには違和感を感じると思います。その違和感、隠されたものがなんであるのか、二人の関係性は・・・などなど想像や推測もできる展開となっています。その読み心地はどことなくミステリーの味わいもあって絶えず緊張感がありました。

3.人間性の見え方と、結末でのどんでん返しに驚きと爽快感がある

物語が進んでいくにつれて刻々と二人の人間性の印象が変わっていくため目が離せませんでした。結末では今までの違和感をすべて解消するどんでん返しがあり、驚きとともに爽快感がありました。奇妙な二人のやりとりを最後まで読み切るには少し覚悟もいりますが、なぜかまた読みたくなるような不思議さもあります。

総評

対話に近い感覚でスラスラと読めてボリューム的にも早い方なら1時間程度で読み切れる内容でした。少しの空き時間を使いながら読み切りたい方にもおススメです。読み進める仲での違和感や隠された事実を想像するのも楽しく、ミステリーの味わいと緊張感がありました。結末では今までの違和感をすべて解消するどんでん返しがあり、驚きとともに爽快感がありました。

  1. メッセージのやり取りには対話形式に近く1時間程度でもサクッと読み切れる
  2. やり取りの中の違和感の正体を想像するミステリーの味わいもある
  3. 人間性の見え方と、結末でのどんでん返しに驚きと爽快感がある

 

その他の本の感想やリストはこちら

mochizuki-1.hatenablog.com

 

以上、ご参考になれば幸いです!

【ネタバレ無】【感想】(小説) 六人の嘘つきな大学生

六人の嘘つきな大学生

浅倉 秋成 さん

を読んだのでネタバレしないように感想を書き留めます。

こんな方におススメ

  • 謎を追っていく「殺人系ではない」ミステリーが好き
  • 多数の伏線があって展開に常に期待感のある内容が好き
  • 世界観に没入しつつ、読者へのいい意味での裏切りを味わいたい

これから読む本を選択するときの後押しになれば幸いです。

現代の日本をもとにした世界観で、とある企業の就職活動をめぐる6人の大学生が主な登場人物です。その就職活動の中で起こる出来事に関して謎を追うミステリーとなっています。この出来事自体は特殊ですが、日本の就職活動での様子にはリアルな部分があって、それぞれの人間性の描写は身近で親しみもありました。殺人系のミステリーが苦手、という方にも読みやすい内容です。

 

私がこの本を好きなポイント3点を始めにまとめます。

  1. 発生する謎と調査のテンポ、バランスが良く常に期待感を持って読める
  2. 真実の追求とともに、登場人物の心情(動機)も追っていく
  3. 一人称視点のため世界観に入り込みやすい

以下各ポイントの感想を詳しく述べていきます。

1.発生する謎と調査のテンポ、バランスが良い

発生する様々な謎とその調査のバランスが良いため一つ一つの事象をゆっくり考察しやすかったです。また、それぞれの事象がしっかり印象に残るため途中で解釈するために読み止まることはなく、スムーズに読み進められました。また、読み進める中で大小多くの伏線がリズムよく入っていて、常に先の展開に期待が高まる内容でした。伏線回収のために描写される場面転換も効果的で展開の仕方がおもしろかったです。初見では気づけない大きな伏線と、その回収はとても心地良かったです。

2.真実の追求とともに、登場人物の心情(動機)も追っていく

発生する謎に対して、事実・真実を追求していくことはもちろん、それぞれの登場人物の心情や動機についても追っていくように描写されていました。単に謎に対するトリックを見抜くだけでなく、人間性を探っていきながら得られた感情に揺さぶられました。それでありながら謎や各心情が明かされた読後にはスッキリと前向きな感情が残り、読者自身も感情のめまぐるしい変化を味わえました。

3.一人称視点のため世界観に入り込みやすい

一個人の視点で描写されているため、そこから見えてくる人間の表裏はリアルで、読み進めるにつれて変化していく印象に惹きつけられました。さらに、基本的に視点が統一していることにより、読者自信もその主人公に移入しながら推理に参加しやすい内容となっていました。逆に、一人称視点であるがゆえに必要なタイミングまで語られない事実もあり、いい意味での読者への裏切りがあってそれも気持ちよかったです。

総評

読み進める中で大小多くの伏線がリズムよく入っていて、常に先の展開に期待が高まる内容でした。単に謎に対するトリックを見抜くだけでなく、人間性を探っていきながら得られた感情に揺さぶられました。一個人の視点で描写されているため、そこから見えてくる人間の表裏はリアルで、読み進めるにつれて変化していく印象に惹きつけられました。またいい意味での読者への裏切りもあってそれも気持ちよかったです。

  1. 発生する謎と調査のテンポ、バランスが良く常に期待感を持って読める
  2. 真実の追求とともに、登場人物の心情(動機)も追っていく
  3. 一人称視点のため世界観に入り込みやすい

 

その他の本の感想やリストはこちら

mochizuki-1.hatenablog.com

 

以上、ご参考になれば幸いです!