【ネタバレ無】【感想】(小説) 五つの季節に探偵は
五つの季節に探偵は
逸木 裕さん
を読んだのでネタバレしないように感想を書き留めます。
こんな方におススメ
- 人間の心情を感じ取りたい
- 日常の中の(人が死なない)ミステリーが良い
- 1冊の中で視点の変化も楽しみたい
これから読む本を選択するときの後押しになれば幸いです。
現代日本で主人公の女性はある出来事により様々な「人間の本性」を追求することに熱中していきます。調査依頼を受けて、各事案の中で隠された人間性を暴いていくため人情味も感じる非殺人のミステリーです。
私がこの本を好きなポイント3点を始めにまとめます。
- 様々な背景の人物の心情を感じられる
- 連作短編集で読み心地が軽やか
- 視点の変化による登場人物の見え方が豊か
以下各ポイントの感想を詳しく述べていきます。
1.様々な背景の人物の心情を感じられる
探偵として受ける案件や依頼者は多種多様であるため、調査対象となる人々の背景も十人十色。単に依頼に応えるだけでなく、「人間の本性」を追求することに熱中した主人公は各調査結果の裏に隠された人々の心情を追求していきます。あえて隠された人間性が明かされる様子は、『パンドラの箱を開ける』ような期待と緊張感がありました。
さらに、単に人間性を明らかにするだけでなく、それを突き付け、逆に突き付けられた人々に生まれる変化には感慨深いものがあります。無意識に、あるいは作為的に目を背けた気持ちと向き合うことは、その人に新たな選択肢を与えることができるのかもしれないという気づきも得られました。
2.連作短編集で読み心地が軽やか
1冊を通して世界観は共通で主人公への愛着は深まっていきますが、5つの短編で構成されているため読み心地は軽やかです。それでありながら各短編で時間軸は進んでいくため登場人物の変化も感じられて、1冊読み終えると一つの大きなシリーズを読み終えたような満足感もありました。
3.視点の変化による登場人物の見え方が豊か
基本的には探偵である主人公視点で描かれていますが、時に語り部や視点の変化もあります。そのため、隠され、明かされた事実の見え方がより印象的になることはもちろん、主人公自身の印象にも変化を感じられました。
『人間の本性』とは不変であると思うと同時に、視点を変えればそれぞれの人間性の感じ方は多様で、個々の印象の変化にも豊かさがありました。
総評
あえて隠された人間性が明かされる様子は、『パンドラの箱を開ける』ような期待と緊張感がありました。5つの短編で読み心地は軽やかでありながら、1冊読み終えると一つの大きなシリーズを読み終えたような満足感もありました。『人間の本性』とは不変であると思うと同時に、視点を変えればそれぞれの人間性の感じ方は多様で、個々の印象の変化にも豊かさがありました。
- 様々な背景の人物の心情を感じられる
- 連作短編集で読み心地が軽やか
- 視点の変化による登場人物の見え方が豊か
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以上、ご参考になれば幸いです!